建築ビジュアライゼーションについて
ビジュアライゼーションを訳すと「可視化する」という意味の言葉です。
自分が望んでいる現実を想像のなかで視覚化し、理想の現実を引き寄せやすくするテクニックのことを指します。
建築業界では、ビジュアライゼーションという言葉自体使われ始めたのは割と最近です。
ですが建築物を設計から手書きのパースとして可視化することはCGが普及する前から行われていました。
コンピュータの一般的に普及に対して、2000年代以降ではCGによる建築パースの作成が当たり前になっています。
さらに最新のコンピュータやソフトウェアを導入することで、VRやウォークスルー動画による可視化もできるようになりました。
ここでお伝えする建築ビジュアライゼーションとは、最新の可視化技術を駆使した立体表現のことをそう呼んでいます。
近年の建築ビジュアライゼーション
主に静止画を使った建築CGパースとは別に、動きの加わった新しいビジュアライゼーションが主流になりつつあります。
いくつかを簡単に紹介していきます。
・ゲームエンジンを使ったリアルタイムレンダリング
・コロナ需要により注目のパノラマVR
・ワークフローに革命をもたらしたBIM
・ビジュアライゼーションツールを使ったCGアニメーション
ゲームエンジンを使ったリアルタイムレンダリング
UnityやUnreal Engineなど、ゲーム開発には欠かせない数々のゲームエンジン。
これらは近年ゲーム業界だけではなく、VRや映像、建築業界にもインタラクティブな3Dコンテンツを制作するツールとして活用方法が広がっています。
様々な DCC、CAD、BIM形式のデータを比較的簡単に再利用が可能で、元々ゲーム開発に使われたソフトウェアを建築CGに活用すること可能です。
マルチプラットフォームに対応しており、スマートフォン、PC、ゲーム専用機、ブラウザやVRゴーグルなど多彩なビジネスシーンで活用できます。
強力な建築ビジュアライゼーションツールとして今後も応用が進んでいくと思います。
コロナ需要により注目のパノラマVR
新型コロナウィルス問題の収束が見えない中、不動産・住宅分野や展示会・イベントなどの非対面型コンテンツへの対応が急激に活発化しています。
不動産分野では、写真や動画・文章で情報を得て想像することが一般的でしたが、360度VRツアーを見ることで、よりリアルで正確な情報を確認できるので、今後これらは強力なコンテンツとして力を発揮していくと考えられています。
実際に足を運ばなくても実際に行ったような感覚を味わいながら、同時に商品やメニューの情報を得られるこの仕組みは、店舗や会社・観光地・レジャー施設・モデルルーム・学校・建築現場など様々なジャンルに有効です。
全方位カメラを使用することで、容易に360度の映像コンテンツを作成することができます。
VRではCGモデリングとVRツアーソフトを組み合わせることで、展示会やイベントをバーチャル空間で体験することが可能です。
ワークフローに革命をもたらしたBIM
これまでの建築設計の現場ではCAD(二次元の図面)で作成していましたが、三次元モデルの作成に変化しつつあります。
設計図面だけではなく、コスト算出や解析、CG作成など、多種多様な分野にデータを利用できるようになりました。
そういった技術の集合をBIMと呼びます。
B:Bulding(ビルディング)
I:Information(インフォメーション)
M:Modeling(モデリング)
3次元という特性を生かし、コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを再現していく仕組みです。
簡単に言うと、従来の2次元CADを進化させたもので、建築に関するあらゆる情報を、デジタルで一元管理できるようにしたシステムになります。
近年BIMは、建築物情報の管理、共有化のしやすさや、グローバル化による標準規格の必要性などから注目されており、導入する企業が増えています。
・Autodesk Revit
・ARCHICAD
BIMデータを扱うソフトウェアとして代表的なものは上記の2つが主流です。
さらに、それを受けて、CAD以外の3DソフトウェアでもBIMとの連携対応が進んでいます。
その中でも特に、BIMと上記のゲームエンジンとの連携は強力で、様々な応用の可能性が高いです。
ビジュアライゼーションツールを使ったCGアニメーション
上記のゲームエンジンを使ったさらに建築ビジュアライゼーションツールに特化したソフトウェアが注目されています。
・LUMION
建築に特化したレンダラーで、BIMとも強力に連携が可能です。
学生版は無料で、建築学生も多く利用しています。
高額でレンダリングに膨大な時間の掛かったCGアニメーションを、ゲームエンジンを使ったレイトレースにより美麗なアニメーションを高速で作成可能です。
ソフトに追加されているアセットやエフェクトを利用することで容易に建築に適したプレゼン動画が出来ます。
・Twinmotion
上記のUnreal Engineを開発したEpic Games社が買収したことで一段と進化を遂げました。
学生版は無料で、永久ライセンスもLimionより安く購入可能です。
最初から建築、建設、都市計画、造園の専門家向けに設計されているので、かなり有用なアセットがデフォルトで追加されています。
こちらもBIMや他の3Dモデリングソフトと強力な連携ツールがありますので、リアルタイムに修正・確認が可能になります。
まとめ
これまで静的コンテンツだったCGパース以外にも、今後は動きのあるVR等が業界のシェアを拡大していきます。
また設計からCGパースといった流れも変わり、今後は建設会社が設計の段階からプレゼンツールまでを一元管理できる為、CGパース制作の在り方も変わりつつあります。
建築の専門知識がない人にとって、設計図面から建物の完成形をイメージすることは困難です。
建築ビジュアライゼーションは、建築物の完成像を誰の目にもわかりやすく理想の現実を引き寄せやすくするテクニックです。
さらに表現力や柔軟性が高いVRは、今後様々な用途に応用されていく事と思います。